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日々のストレス解消や楽しみの一環として、お酒を楽しむことは多いかもしれません。普段はあまり飲まれない方でも、仲間内での楽しい集まりやイベントなどでお酒を飲む機会はあるでしょう。お酒の飲み過ぎは健康にも影響を及ぼすことはよく知られているかもしれませんが、口の中にも影響を及ぼすことはご存知でしょうか?
むし歯や歯周病など、皆さんがご存知の口の病気も、お酒が影響を与えることはあります。しかし、だからといってお酒を飲んではいけないということではありません。お酒がどのように口の健康に影響を与えるかを正しく理解し、健康を害さないように楽しんでいくことが大事です。
今回はお酒が及ぼす口の健康への影響について解説していきたいと思います。
【むし歯とお酒の関係】
①お酒に含まれる糖質
アルコールそのものがむし歯を引き起こすことはありません。むし歯の原因になり得るのは、アルコールに含まれる糖質です。
お酒にはいろいろな種類がありますが、お酒に含まれる糖質は、むし歯菌にとっては格好のエサです。糖質が多く含まれているアルコールを摂取するほど、むし歯のリスクは高くなります。また、お酒が長い間口の中に入っていたり、そのまま歯みがきをせずに寝てしまったりすると、口の中は酸性に傾き、歯が少しずつですが溶けていきます。その結果、むし歯になりやすい状況になってしまうのですね。
お酒にもさまざまな種類がありますが、具体的には、原料に酵母を加えることによりアルコール発酵させて作る“醸造酒”や、醸造酒等に果実、薬草、香料などの成分を配合した“混成酒”は糖分が多いため、飲みすぎはおすすめできません。多飲することでむし歯になるリスクを高めてしまうことがあります。
また、お酒にはよく炭酸を使用したものもありますが、炭酸飲料も口の中を酸性にしてしまうため、むし歯やプラークの原因となってしまう可能性があります。また、他にも酸性のお酒としてワインなどがあります。
②むし歯になりにくいお酒
では、何のお酒でもむし歯になりやすいかというとそうではありません。
先ほど紹介した醸造酒、混成酒の摂取割合を少なくし、なるべく“蒸留酒”を飲むといいでしょう。
蒸留酒とは、醸造酒に熱を加えて気化させ、冷却して再び液体化したお酒のことであり、以下のものが当てはまります。
・ウイスキー
・ブランデー
・焼酎 など
③むし歯にならないために
長時間ダラダラとアルコールを摂取し続けないことも、むし歯予防につながります。
お酒を飲むときは長時間飲み続けるという方も多いですが、アルコールやおつまみなどの食べ物が口の内に長い間ある状態が続くと、むし歯の原因となる酸が発生しやすくなるためおすすめはできません。
【お酒と歯周病の関係】
①お酒は歯周病にどんな影響もたらすのか?
結論から言うと、お酒そのものが歯周病に悪いわけではありません。
しかしながら、お酒を飲むと酔っ払ってしまい、気持ち良くなってそのまま寝てしまう方もいるかもしれません。また、面倒であったりしてお酒を飲んだまま歯みがきなどのケアをしないまま翌朝を迎えることもあるでしょう。
そのようなことが多いことから、お酒は歯周病を進行させる原因の一つと言えるでしょう。
また、寝ている時というのは、通常の起きているときと比べて口の中のだ液の量は減少しています。だ液には口の中を潤すだけでなく、洗浄や殺菌効果があります。夜寝ている時にだ液が減少することで口の中は有害な菌が繁殖しやすくなっています。
お酒に含まれるアルコールは脱水作用があるため、だ液の分泌も減少します。これにより口の中が乾燥し、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
もしも酔っ払ってしまっても、きちんと歯みがきを怠らずに行うことを忘れないでください。特に寝る前の歯みがきはむし歯や歯周病の予防に役立ちます。
② お酒に弱い人は歯周病のリスクが高まる可能性がある
お酒を飲んだ時に、何も変わらない人がいる一方で、顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、脈が速くなったり、または頭痛やめまいなどを感じる人もいます。こうした方の身体に対しての影響の原因は何かというと、アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」という成分に含まれる毒性が原因となっています。
人間の身体にはアセトアルデヒドを分解して排出する機能があるのですが、それには個人差があり、分解能力が低い人は上に記したような症状が出やすいのです。その分解能力の違いの原因は何かというと、一人ひとりの酵素活性の高さによって分解能力が決まるのです。
分解酵素の1つであるALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2)という活性酵素には、個人差が非常に大きいこと、酵素活性は遺伝によって決まっていること、この2つがこれまでの研究で明らかになっています。
この酵素のタイプを大きく分けると、次の3タイプが存在します。
・お酒に強い活性型(GG型) ・・・日本人では56パーセント
・すぐ顔が赤くなる不活性型(AG型) ・・・日本人では40パーセント
・アルコールを受け付けない失活型(AA型)・・・日本人では4パーセント
これに対し、白人や黒人の人々は、ほぼ100%が活性型でお酒に強い方が多いとのことです。
活性型と歯周病の関係を研究した結果によると、お酒を飲んで顔が赤くなる人の歯周病リスクは、飲まない人の4.28倍も高くなることがわかっています。一方、お酒を飲んで顔が赤くならない人は、飲まない人と同程度のリスクと言われています。
結論としては、お酒を飲んで顔が赤くなる方は、歯周病になりやすい方であると言えるでしょう。そのような方は、飲みすぎず、身体に無理のない範囲でお酒との上手な付き合いをしてください。そして、歯周病からお口の健康を守るためにも、より一層歯周病予防に力を入れられることをおすすめします。
また、ここでひとつ気をつけてほしいのが、お酒に強い人は歯周病リスクが低いので予防をしなくても大丈夫と言うことではありませんので注意しておきましょう。
【OCEAN歯科からのメッセージ】
お酒を飲むことは楽しみの一つですし、止める必要はありません。しかしながら、その影響を正しく理解し、適切なケアを行うことで、健康な口腔状態を保つことが重要です。お酒を飲む習慣のある方は、飲んだ後にどのようにケアを行うべきか、どのような点に注意したらいいかなど、通常の定期検診でお話しすることも可能ですので、お気軽にご相談ください。
お酒を楽しみながら、口の健康も守っていきましょう。